インサイド
「魔法―?」
「うん。たーちゃんの名前は秘密なのに、奏はいっぱい呼ぶの。変なんだけど、決まりなんだって言うからね」
……魔法……?
決まり、とわいったい。
「秘密って。立木先ぱいの、名前?」
「ウン。だから誰も呼ばないでしょ」
「あ。ほんとだ」
裕明と書き、みちあき、と読む。
教えてもらわなければ読めない名前だ、秘密だから? なのか?
どことなく理知的でぴったりだと、生徒名簿をチェックした千帆は思ったものだった。
好みから言うなら、ふだん呼ばれている『タツ』だの『タツさん』だの(奏は『たーちゃん』と来たが)職人あるいは時代劇ぽい呼び名よりも、ストレートに名前をお呼びした方がかっこうがいい。
雰囲気からしても『みちあき』が合っている、とは、過ごす日々に言い切れなくなってきたとしても、まだまだ幻想は生きているのだ。
「うん。たーちゃんの名前は秘密なのに、奏はいっぱい呼ぶの。変なんだけど、決まりなんだって言うからね」
……魔法……?
決まり、とわいったい。
「秘密って。立木先ぱいの、名前?」
「ウン。だから誰も呼ばないでしょ」
「あ。ほんとだ」
裕明と書き、みちあき、と読む。
教えてもらわなければ読めない名前だ、秘密だから? なのか?
どことなく理知的でぴったりだと、生徒名簿をチェックした千帆は思ったものだった。
好みから言うなら、ふだん呼ばれている『タツ』だの『タツさん』だの(奏は『たーちゃん』と来たが)職人あるいは時代劇ぽい呼び名よりも、ストレートに名前をお呼びした方がかっこうがいい。
雰囲気からしても『みちあき』が合っている、とは、過ごす日々に言い切れなくなってきたとしても、まだまだ幻想は生きているのだ。