インサイド
 気持ちがいい。

それは褒めているに違いない。間違いない、褒められている。

ここは野外なので、天井にぶつかることはできない。舞い上がったら宇宙の藻屑かも。


「たーちゃんが楽しそうだから、奏も嬉しいんだ。ごきげんよろしゅうだからね、新学期からこっち」

「ご機嫌が悪い時も、ある?」

想像領域から外れている。

「あるある、もーお、そりゃ大変。たーちゃんはねぇ」

肩をすくめて首を振る。

それが、子供がお母さんの仕草を真似ているように見えてしまうのは間違っている、そう思いながら、千帆はそう思っていた。


 奏ちゃん、かわいすぎる。


 けれど賞賛に感謝は与えられず、続きを待ち構えていた千帆を裏切り、奏は自分勝手に切り替えをした。

「でも」

どこから『でも』? 繋がっていない。

「いろいろ問題は解決したし、もう少しは大丈夫かもね。もともと平和な頭の人だし。ああやってさっちゃんと遊ぶヒマもあるし」
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