インサイド
「ごめんね、私なんか、疑ってるみたいな目で見ちゃったかも。ごめんなさい」

「いいよー。難しいんだから。生まれてからずっとのことだし、説明には慣れてる。成瀬さんだけじゃないから気にしないで」

 おぉ。いいやつ。

 良かったかも。

思いながら、抱えてきた教本とファイルに課題を重ね、窓際に並べられたイスに移動した。

建て付けの問題か、開いていない窓から、どこかの誰かのフルートが入ってきている。

高音が雨を縫っていた。

「成瀬さんの指導、立木先輩でしょ」

「うん、そう」

「オレもそうだから」

「あ! ピアノのもう一人。え、そうなんだ。そっか、男の子だって言ってたっけ」
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