インサイド
 望みを叶える、常に期待され続ける弟子でありたい。

一時でも以前の先生にそんな気持ちを抱いていれば、もっと成長していたのかもしれないと反省などするが、それはあまりにも時間をおかずに打ち消されていた。


だって、先生は『立木先ぱい』じゃないじゃない。


 息など吐き、渡された課題に目でも通してやるかと、プリントを目の前に構えた時だった。

そんなことどころではなくなり、膝の上に載せていた教本と一緒にそれをイスに放り出す。



音!

 千帆は早業でピアノに駆け寄った。
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