インサイド
「遥くん、あ、じゃ、なくて白井くん」

「いいよ。名前」

「じゃあ、遥くん」

「うん。なに?」

「これ、この曲、きれい。すごい上手。びっくりしたー」

「初めて聴いたの? 楽譜あげよっか」

「う゛。うん、と迷わず言いたいところだけど、あまし私に弾ける感じがしないかも」

「なんで。成瀬さんならすぐじゃない?」

 ナルセサン。

 奏の顔が頭に浮かび、それがいつのことだかも同時にわかった。

名前で呼んでって言った時。
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