インサイド
くるりと振り返ると、その人物はイスから立ち上がるところだった。
楽譜を閉じてピアノの上に置き(あぁ、それ……)、にっこりと音が聞こえそうなくらいの微笑みを浮かべて、千帆に向かい、
「呼び出しといてお待たせしました。ども。立木裕明(たつきみちあき)です」
「な、成瀬千帆です。えと、あ! よろしくお願いしますっ」
「こちらこそよろしく。こっちに座って。どうぞ」
用意してきた挨拶のほとんどを忘れ飛ばしてしまったけれど、とにかくもお願いしますの一言を口に出したことにほっとしながら、千帆は明け渡されたピアノの前の黒いイスに座った。
視界の端にちらちらしている楽譜が気になる。
なんて曲なんだろう。
今ここに座っている理由とは、まったく違うことだから、尋ねてみたら叱られる?
「えーと、まずは、の話なんだけど」
楽譜を閉じてピアノの上に置き(あぁ、それ……)、にっこりと音が聞こえそうなくらいの微笑みを浮かべて、千帆に向かい、
「呼び出しといてお待たせしました。ども。立木裕明(たつきみちあき)です」
「な、成瀬千帆です。えと、あ! よろしくお願いしますっ」
「こちらこそよろしく。こっちに座って。どうぞ」
用意してきた挨拶のほとんどを忘れ飛ばしてしまったけれど、とにかくもお願いしますの一言を口に出したことにほっとしながら、千帆は明け渡されたピアノの前の黒いイスに座った。
視界の端にちらちらしている楽譜が気になる。
なんて曲なんだろう。
今ここに座っている理由とは、まったく違うことだから、尋ねてみたら叱られる?
「えーと、まずは、の話なんだけど」