【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている

　私は女子高生ながら、「愛してる」を疑っていた。

　その言葉には理屈なんかない。
　特に、若いアイドルが「愛してる」なんて言うと、虫唾が走る。

　
　みんながみんな、「愛してる」って言い過ぎて、
　今の日本は、「愛してる」の価値が下がってる。
　紙幣をすり過ぎて、インフレが起きるみたいに……。


　でも違うのかもしれない。

　「愛してる」は、音楽とか映画の売り文句ではなくて
　人間の一部なのかもしれない。
　　

　少なくとも、私たちの目は、「見つめ合う」ために進化していた――！



　私はベッドの中、不思議な喜びに涙し続けた。