【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている
 「野菜、食べなきゃ、だめですか?」

 「はい。だめです」
 そんなん、当たり前じゃん。
 馬鹿には、付き合いきれないわ。
 
 私は掃除を続けたが――
 ――しばらくして、背中に注がれる視線に気づいた。


 「なによ? 怖っ!」


 「いや、絶対、屁理屈が始まるだろうと思って」


 「屁理屈ぅ?」


 「つまりさーー。 ゴクッ」
 馬鹿は私のC1000タケダを飲む。
 え? つーか、飲むな! 飲みかけだから!!
 
 「レモンに含まれるドコサヘキサエン酸が、ゴルジ体に働きかけて、アデノシン3リン酸を生成して……オットー1世が、咲いたコスモス、コスモス咲いた(SinA・CosB+CosA・SinB)でじゅげむじゅげむ……って、お前の得意そうな奴」


 「……うん、分かった。お前は馬鹿だ」
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