【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている
「彼らはこの目で、どんな世界を見ているのだろう?」
―――理系女には似つかわしくない、叙情的な想いを抱きながら窓の外を見た。

 世界の広がりと、世界の終端に想いを馳せていた。


――と、私は次の瞬間、“自分に与えられる視線”を感じた。

「――!」

 隣のバカバレー部がその安眠から目覚め、私を見つめていたのだ――!


「なんで!?」

 私は動揺した。
 そして同時に、状況を呑み込めない私は、それを“現象”として見るしかなかった。
 “白い海原”に“黒い大地”が浮かび、その黒が私を捕らえていた――と。


「!?」
 あれ、白と黒?

 違う――!
 あれ、違うよ?


 慌てて資料集を取った。

 人間の目って、ほかの動物と違う!



 私はその瞳を見つめ続けた。 見つめ続けてしまった。


――――
―――
――
< 3 / 28 >

この作品をシェア

pagetop