【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている
 「何でかな?」
 いや、だから生物のとき見つめてたのは、そういう事なの!
 「何でかなって思って、お前の目を見てた」


 「…変わってるな、お前」
 

 「…知ってる」


 「好きだけどな、そういうの」


 「え……!?」
 ――とかって、私の乙女のトキメキの前にバカは続けた。


 「でも、白目、無いと困る」


 「……なんで?」


 「試合中さ、相手の目ぇ、結構見てる」

 
 「そうなの?」


 「敵の視線が次の攻撃を予想させる。ちょいホラ!」
 バカは私の肩を取って、グイッと引き寄せた。

 「な! ちょっ……!」

 「見ろよ」
 バカは私に顔を突き合わせて、目をギョロギョロ動かした。
 「ほらな! 白目があるから、俺がドコ見てるか分かるんだろ?」
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