佐山君とバスケ
私を睨んでいた佐山は、いきなり何かを思い出したかのように私から目をそらした。


「ごめん。言い過ぎた。先帰るわ。」


そう言い残すと佐山は、走って帰っていった。


佐山のあんなに本気で怒った姿をみたのは初めてだった。


少しびっくりして、少し悲しくなって、少し泣いた。

「ごめんな。早苗」

謝る茜。


「大丈夫。茜のことは、ちゃんと話せば佐山にも伝わるよ。」



「あかん。ほんま優しいわ。お前」


茜は悪くない。


悪いのは無用心に男の人の家に入った私だ。


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