眼帯にkiss
クルッと教室内の方を向く。
うーん、教卓の下に隠れても足が見える。机は全部見えるから論外。カーテンも足と影で分かる。
となると…
「誰?キミ。」
?
辺りを見回す。
あれ?あたし幻覚症状起こしてんかな?なんか人がいるんですケド。
「あたし脳可笑しくなってんじゃん。」
あーこれが老いってヤツか…。
はあ、とため息を吐くと、
「違うと思うよ?」
男子生徒が口を開いた。
「そうだよネ…ってギャーー!!」
「ギャーって、ははっ面白いねキミ。」
男子生徒が何故か笑いだした。どこがおもしれーっつーんだよ。
「て、テメー誰だ!!」
ガルルッと威嚇する。
「それにしても…」
と言ってあたしを爪先から頭のてっぺんまで見て
「キミは趣味でその格好を?」
「趣味じゃねー!スカートって跨がすーすーしててヤなだけだっ!!」
「男の子になりたかったとかそう言う訳じゃ」
「だからちげーって!!」
男子生徒の言葉を遮って叫ぶと目を見開いて肩を震わせた。
「ふっくくくっ……あっははは!!」
ビクゥッ
なな何、いきなり。ビックリすんじゃん。
一分経過――
…まだ笑ってる。
「あの、キモいんだけど。」
あたしはまだ笑ってる男子に怪訝な目をして言った。
「ごめんごめん。でも…ぶふっ」
笑い上戸なのか?
「~っだから!!あんたは誰?!」
痺れを切らしたあたしはついに大声で言ってしまった。
はっとなり、田口に追いかけられていた事を思い出す。キョロキョロと教室の外をみた。 でもとっくにどこかへ行ってたみたいでホッと胸を撫で下ろす。