眼帯にkiss



「佐渡 翔。」


「あ?」


ああ いつもの悪い癖だ。は?とか何?とかじゃなく、あ?だ。

――これじゃあ初対面相手に喧嘩売ってんのと同じじゃん…


「名前。」


「ああ、そゆことな。」

ポツリと呟いた。


「ん?何?」


「なんでもねー。……なあ、さわたりかける。」


「ははっ…フルネームで呼ぶんだ。」

小さな声で言われたので首を傾げた。


「何でもないよ。…で、何?」


「あんたって二年、だよな?」

つまり年上。


「…何で分かったの?」


「ん…ココ。」


トントンと自分の緩く結んであるネクタイに指を指す。


「ああ、なるほど。」


あたしがネクタイに指を指したら納得した様に頷いた。

何故かというと、学年によってネクタイやリボンについている線の本数が違うから。一年なら一本。二年なら二本。ていう感じにな。

まあ、男子は当たり前にネクタイだけど、女子はどっちでもいいよーみたいな。


「佐渡翔。ここでなにしてんの?」


「フルネームは止めようか。」

「じゃ、佐渡。」


「名前で呼んでもいいのに…。しかも一応年上なんだけどな。」

はあ、と1つため息を吐く。


「…注文が多い。あたしが聞いてやれるのは1つまでだ。それ以外は受け付けねー。



あとあたしは、自分が認めたヤツにしか敬意を払わない。」


「じゃあ認めて貰えれば何でも聞いてくれる?」


「まあ、そういうこった。……因みにあたしはこれまでに誰一人として認めていない。」


だからムリだね。






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