愛を抱きしめて
「もしかして、これあんたの?」
「そう…返して。」
ついカッとなってしまった。
見知らぬ男の子は机を廊下に置き、どこかに消えてしまった。
ハァ…。
今日は一段とひどい。教室に入るといっきに皆の注目の的だ。
入るなり、飛び交う暴言の数々。
「あっれー?どーしたのその机!」
「やだー!恥ずかしい!」
犯人は誰ってわかってる。きっとあの2人だ。
でも、あの2人は昨日トイレにいたし…。
あっ。
信じたくない真実に気づいた。
昨日教室に残ってた人…。
"由奈と水菜だ…"
そうだよ…。いつもホームルーム終わったら2人はすぐに部活に行くはずなのに…。残ってるなんておかしい。
2人の方をちらっとみた。2人は下をむいていた。
今日の空はびっくりするほど青くすんでいて、まぶしかった。
気付けばホームルームが始まっていた。
「おらー、静かにしろ。今日は転校生を紹介する。」
クラスのテンションが一気に上がる。
「え?男?女?」
「美女期待!!!」
「イケメンがいいよねぇ」
さっきのムードとは大違い。