愛を抱きしめて
「あんた、下の名前はなんてゆうの?」
男の子、いやっ河西君が話しかけてきた。今日で2回目。
喜んでいいの?かな?
そう思ったつかの間だった。
「あっ!河西君!安曇に話しかけたら、だめだよー!」
「ウチらのこと、裏切者扱いした最低なやつだか。」
あの2人からは逃げられない。
河西君の視線が痛い。
その時だった。
「ちょっと、話すか話さないか俺が決めること。それにあんたら、見て見ぬ振りしてないで助けたら?」
まるで昔の私をみているようだった。
「っち、転校生だからってちょーしこくな。仲良くしよ?河西君」
この言葉を最後に、1時間目開始のチャイムが校舎全体に鳴り響いた。