愛を抱きしめて
「教科書25ページを開いて」
先生に従って、ただちに生徒は教科書を開く。
あれ?あれ?
教科書が…、開かない。
また、か…。
これで何冊目になるだろう?
買い換えても買い換えても、接着剤でやられて。
警戒して、おきべんはやめたけど私がいないうちにやっているみたい。
「あれ?なんで開かないの?教科書25ページ」
「知ってるよ。聞こえてるし」
どうして私はこうなんだろう?
人間不信になっちゃったの?
「あんた、もしかして教科書わすれた?」
「先生!安曇さん、教科書忘れちゃったみたいなんで机くっつけまーす!」
「安曇、珍しいな。次から気をつけろよ。」
え?ちょっと、なに?ばかじゃないの?
教科書は机の上にあることくらい見えてるでしょ?忘れてなんかいないくらい、わかるでしょ?
「ほら…。みなよ。」
〜♪
携帯がなった。いや、授業中はマナーモードにしてあるから音はならない。
[お前、河西君になに助けもとめてんの?
どーなるか、覚えとけよ。]