バレンタイン -チョコより甘いキス-
教室を出たはいいものの行くあてなんて何もなかった。

でも教室に引き返すわけにもいかなくて・・。

裏庭にきてしまった。

春・夏はいつもここで秋斗とお弁当を食べてた。

あたしは裏庭に腰をおろした。


『さむっ・・。』


寒すぎて自然と体育すわりになっていた。


『秋斗のばかぁ・・。』


あたしは涙を流しながら誰もいない裏庭で文句を言い出していた。


『なんで気づかないのよぉ・・。他の女の子からのチョコもらうなんてイヤに決まってるじゃん。あたしは・・素直になれないんだからぁ。そのくらい気づいてよぉ。あたしのこと一番わかってるくせになんでそういうとこはうといのよ・・。』


あたしがそういい終わるのと同時に後ろから誰かに抱きしめられた。


『キャッ?!』

『夏美!!ごめんなぁ。俺バカだよな。夏美の気持ち全然考えてなかった。わりぃ。』

『秋斗・・。』


外は2月で寒いはずなのに秋斗は汗をかいていた。


『ずっと探しててくれた・・の?』

『俺が夏美のいない教室に耐えられると思う?夏美をほっとけるとおもうの?』


秋斗はそれだけいうとあたしの涙を親指でぬぐっていた。

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