キミニアイヲ.
それでも二人は別れる気など全くなかった。


紅葉には風汰、風汰には紅葉しかいない。


二人は誰よりも深くお互いを愛し、必要としていた。



そして、高校三年の冬──

紅葉は自分の体の変化に気付いた。


風邪のような怠さ、急に襲われる吐き気、生理も二ヶ月遅れている……



紅葉は妊娠していたのだ。



すぐに風汰に伝えると、彼はとても喜んだ。


しかし、反対されていた上に子供が出来たなんて知れたら、結婚どころか一緒にいることすら出来なくなるだろう。


まだ幼く働いてもいない二人が、誰からの協力もなく子供を育てることは難しい。


でも、堕ろすなんて出来ない──


二人は心底悩んだ。


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