キミニアイヲ.


「それで俺が産まれたってわけ」


「すごいね…!駆け落ちするなんて、お母さん達本当に愛し合ってたんだね…」



楓が産まれる前の話を聞いて、莉子はまるでドラマのようだと思った。


そこまで深く相手を愛するなんて、莉子には想像もつかない。



「だから楓の目は色素が薄いのかぁ。…てことは、楓はお母さん似?」


「んー、全体的には母さん似だね。でも髪の毛とか口元は父親似、らしい」



楓がどこか他人事のように話すのは、実の父親のことをあまり憶えていないからだろう。



「…お父さんは、どうして…?」



莉子は少し遠慮がちに尋ねる。


楓はどこか遠くを眺めながら、再び話しだした。




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