キミニアイヲ.
ずっと一緒にいられると思った。


彼以上の人なんていない。


彼となら絶対幸せになれる──



そう信じて疑わなかったあの頃の純粋な気持ちは、もう何処にもなかった。




『私達……別れましょう』




風汰は引き留めることが出来なかった。


誰よりも紅葉を愛していたのに、その気持ちはずっと変わらないのに…


これまで辛い想いをさせてしまったこと、紅葉を裏切り傷付けてしまったことの、大きな後悔と罪悪感──


風汰には、もう彼女を幸せにしてあげる自信が持てなかった。



そして二人は別れを選んだ。


楓が5歳、風汰と紅葉は24歳の秋のことだった。



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