キミニアイヲ.
何かと思ったその瞬間、茶色の柔らかい髪の毛が顔にかかって


莉子の目尻に楓の唇が触れた。



「──っ…!!」



楓の大きな掌が莉子の頬を包んで、涙をそっと拭う。


言葉を発する暇もなく、今度は唇に優しいキスが降ってきた。



莉子は動くことも、目を閉じることすら出来なかった。


まるでこれがファーストキスであるかのように

胸が破裂しそうなほどドキドキして、顔も頭も全身が熱を持っていった。



周りの人の視線なんかより、触れ合っている部分にだけ意識が集中する。


ほんの一瞬の出来事なのに、とても長く感じられた。


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