キミニアイヲ.
莉子の瞳には、何故だかまた熱いものが込み上げてくる。


目を閉じると、それは綺麗な雫となって楓の肩を濡らした。



今まで引っ掛かっていた楓の謎に満ちた部分が、少しだけ垣間見えた気がした。


いつも余裕綽々に見える楓でも、心に癒えない深い傷を負っている。


その傷を庇うように、莉子はそっと背中に腕を回した。




“愛”って何なのか分からなかった。

そんな色も形もないものの正体なんて……


それでも、今は何故かはっきりと分かる。



──あなたの苦しみを分け合いたい。


あなたを理解して、支えて、守ってあげたい。



あたしは


あなたを愛してる──








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