キミニアイヲ.
プレゼントも持っていくべきか否か迷った。


でも、もしかしたら昨日の話は全部嘘で、何事もなかったかのようにこれを渡せるかもしれない……


と、そんな限りなく0に近い可能性を信じて、持ってきてしまった。



そう、可能性がどのくらい残されているかなんて分からない。


楓本人の口から真実を聞くまでは……



莉子は深呼吸を一つすると、紙袋をギュッと握りしめてホテルのエントランスをくぐった。


相変わらず高級感漂うホテルの中。

いつもとは違う方向へ向かう。



「すみません」


莉子は、姿は見えないが奥に人がいるであろうフロントの小窓に向かって声をかけた。


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