キミニアイヲ.
「はい?」


少し遅れて年配の女性らしき声が聞こえ、小窓の黒いカーテンが開けられた。


女性の手元しか見えないが、その人に向かって問い掛ける。



「すみません。私梅林と言いますが、かえ……松永社長はいらっしゃいますか?」



思わず“楓”と言いそうになって慌てて言い直す。


最初はあんなに抵抗があったのに…慣れって恐ろしい……

と、従業員の女性が楓を呼びに行っている間に考えていた。


そんなことでも考えていないと、不安に押し潰されてしまいそうで。



しばらくすると“STAFF ONLY”と書かれた扉が開いて、愛しい人が姿を現わす。


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