キミニアイヲ.
莉子は楓の顔を見ただけで目頭が熱くなる気がした。

それが何故なのかは分からないけれど。



「…莉子!?どうしたんだよ、迎えに行くって言ったろ?」



楓はひどく驚いた様子で、コツコツと革靴の綺麗な音を響かせて近付いてくる。



「うん…、ちょっと話したいことが…あって……」



目を見れずに俯きながら言う莉子を見て、楓はすぐに様子がおかしいことに気付いた。



「…とりあえず部屋に入ろう」



そう言うとそっと莉子の肩を抱いて、

「美和ちゃん、俺303に入るからヨロシク」


と、小窓から従業員の女性に声を掛けた。


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