キミニアイヲ.
「あの時かけてくれた言葉も…
笑顔も…キスも、全部……!!

全部…嘘だったの!!??」



莉子の悲痛な叫び声が響き渡る。


堰(せき)を切ったように溢れて止まらない涙。


こんなに感情を露にしたのは、皮肉にもこれが初めてだった。



楓は沈痛な面持ちで、何も言わずに莉子の想いを受け止める。



こうなるのは当然のことだ。


何も知らない彼女を、利用しようとして騙していたのは逃れようのない事実だから。



(だけど、俺は──…)



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