キミニアイヲ.


外はいつの間にか雪が降り始めていた。


結局莉子は楓の話を聞く前に、耐えきれずホテルを飛び出してしまった。


涙でぐしゃぐしゃになった顔も気にせず、イルミネーションで輝く街を夢遊病者のようにただフラフラと彷徨う。


怪訝そうに莉子をチラッと見る人もいるが、気付かないで楽しそうに軽い足取りですれ違う人がほとんどだ。



あてもなく歩いていたはずが、気が付くと莉子はあの橋の上に立っていた。


昼間は白い橋も、夜は街灯に照らされてオレンジ色に見える。



ここで莉子と楓は初めて出逢った。


死のうとしてたあたしを、楓が引き留めてくれたんだよね…

と、ぼんやり思い出す。


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