キミニアイヲ.
一人部屋に残された楓は、入り口の壁にもたれて深いため息をついた。
なぜ莉子にあのことが知られたのか──
それは考えるまでもない。
「瞬哉のヤツ……」
そう呟いて、クッと嘲笑した。
瞬哉は汚いやり方が嫌いな性格。
それに、変なとこで平和主義な考え方をする。
きっとなんとかしようとして、頼れるお姉様の彼女に相談したに違いない。
「ったく…余計な世話だっつーの」
煙草を取り出して口にくわえ、火を点けようとする。
こんな呑気なことしてないで、彼女を追った方がいいのだろう。
だが、会ったところで弁解する余地もない。
最低なことをしたのだから──