キミニアイヲ.
「──っ…!!」



考えたくない最悪の結末が脳裏に過る。


その瞬間、楓は火が点く前の煙草を捨て部屋を飛び出した。



エレベーターを待つ時間ももどかしく、階段を掛け降りるとフロントに向かって声をかける。



「美和ちゃん!俺このまま帰るから後よろしく!」


「…はっ!?ちょ、ちょっと社長!!??」



美和という従業員の女性は、何事かと思わず小窓から顔を覗かせて楓を見やる。


部屋を選んでいたカップルも、慌ただしく走り去ってゆく楓をぽかーんと見つめていた。



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