キミニアイヲ.
「本当のこと言うとさ。最初、あの橋で偶然莉子に逢った時…
『あぁ、死のうとしてる子なら利用しても構わないか』って思ったんだ」



行き交う車を見るともなく眺めながら楓が話すのを、莉子は穏やかな目で見つめる。



「でも、会って話すたびに迷いと罪悪感が生まれた。どこか自分と似ている莉子を、騙していることが苦痛になってた」




──騙していていいのか?

…仕方がない。


──愛しいんだろう?

…ただ同情してるだけだ。


──同情じゃなく、愛情だろう?

…そんなんじゃない。



──こんなに苦しくて藻掻いているじゃないか


──これ以上悲しい想いをさせたくないだろう?


──彼女を守りたいんだろう?




< 223 / 370 >

この作品をシェア

pagetop