キミニアイヲ.
「俺は、莉子のこと──」



パッパ──ッ!!


後ろからクラクションが鳴らされ、信号が青に変わっていることに気付く。



「はぁ…雰囲気ブチ壊し」



うなだれながらゆっくり車を発進させる楓に、莉子はマフラーに顔を埋めながらクスッと笑った。


ギアに置かれた楓の手に、そっと自分の右手を重ねてみる。



「……信じるよ」



楓はちらりと莉子を見る。

そして、ふっと安堵の笑みを零してその手を握り返した。



「ありがとう」



繋がった手のひらの温かさに、莉子は心まで温かくなるのを感じていた。



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