キミニアイヲ.
「でも…お兄さんに逆らっちゃって大丈夫?かな…」



“勝手にしろ”とは言っていたが、毅の恐ろしさを知った莉子はどうしても不安が拭えなかった。



「楓がまた何かされたら嫌だから…。もう辛い想いはしてほしくない」


「俺は莉子が危険な目にあわなければそれでいいよ」


楓はまっすぐ前を見据えて言う。



「莉子に何かあった時の方が俺は辛いから。守るためなら多少無理したってどうってことない」


「でもっ……!」


「ていうか、俺そんなにバカじゃないし」


「……へ?」



莉子の言葉を遮った楓は、悪戯っぽく口の端を上げて短く笑う。


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