キミニアイヲ.
果たしてそんなことが出来るのかは謎だが、とりあえず莉子が理解できたことが一つ。



「楓って…やっぱり頭良いんだ?」


「まぁね。悪知恵とも言うけどね」


楓は謙遜することなく、不敵な笑みを浮かべる。



「ラブホの経営だって、利益の半分渡しても十分生活出来るくらい儲かるんだよ。
だから文句も言わず今もやってるの。結構社長って呼ばれるのも気分良いんだよね」



あははっと笑う楓を見て、莉子も少し呆れたように笑った。



「だから兄貴に何言われたって平気。
…でも、もうきっと何もしてこないんじゃないかな」



部屋を出る直前に見た毅は、まるで浄化されたように黒いオーラが消えていた。



「うん…そうだね」


そうであってほしいという願いも込めながら、莉子は少し微笑んだ。



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