キミニアイヲ.
「あの人相変わらず趣味悪いよなぁ」


楓はククッと笑いながら、その不気味な人形を棚の上に置いた。



「あ、そういえば社長は楓のお父さんと知り合いなんだっけ?」


莉子はふと思い出して聞いてみた。



「あぁ、加川さん(社長)も親父の組の団員だったから」


「えっ!?そうだったの?」


「どう見てもヤクザだろ、あれは」



軽く笑いながらキッチンへ向かい、マグカップに湯を注ぐ楓。

それを莉子に渡すと、自分は冷蔵庫から缶ビールを取り出してきてソファーに座った。


莉子の両手に納まったのは温かいココア。

そのさり気ない気遣いに体も心も温まる。


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