キミニアイヲ.
「俺が経営術を教えてもらったのも加川さんからなんだよ」


ソファーでくつろぎながら楓が言う。



「へぇ~!そんな繋がりがあったんだ」


「そう、よく言われたな『あんな落ちこぼれが社長になるとはな』って。
あの人も同類のくせに」



「落ちこぼれの御曹司、かぁ…」


ココアを一口飲んで呟いた莉子に、「ん?」と楓が振り返る。



「逢ったばっかりの頃、楓がそんな嘘言ってたなと思って」


体育座りをして両手でカップを口に運びながら、ふふっと笑った。



「あぁ、あれは嘘じゃないよ」


「えっ?」


「友達に自分の親が暴力団だなんて言えないから、社長だって言ってたんだ。
だからそう呼ばれてたのはホント」


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