キミニアイヲ.
産婦人科からの帰り道、莉子は公園のベンチに座ってもらったエコー写真を見つめていた。
まだ8mmしかない愛の結晶。
そんなに小さいのに、この子は頑張って生きている。
生きているのだ。
楓と莉子の、唯一血の繋がった本物の家族。
その小さな小さな存在をこの目で確かめたら、何よりも愛しく想えてきた。
──産みたい。
それが一番に感じる気持ち。
だけど、両親の愛情を十分に注がれずに育った自分が、子供に愛情を注げるのか?
本当に一人の人間を育てられるだろうか?
希望よりも不安の方が大きくて、自信なんて全くなかった。