キミニアイヲ.
「…あたしね……」


唾をごくりと飲み込んで口を開く。



「赤ちゃんが出来た。…2ヶ月目だって」



楓の目を見ることが出来ずに、また自分の膝に視線を移した。


鼓動が早くなる。


どんな返事が返ってくるか恐い…



「………」


ほんの少しの沈黙の後、はぁ…と息を洩らす音が聞こえてきた。


やっぱり…迷惑なのだろうか?



「俺もついに父親か…」



そう呟く楓をちらりと横目で見た莉子は、そのまま固まった。


手の甲を口元に当ててはいるが、にやけているのを隠しきれていない。



「どっちかっつーと女の子がいいけど、絶対可愛いから心配になるだろうしな…莉子が嫉妬するかもしれないし…。やっぱり男の子か…」


一人ぶつぶつ呟く楓を見て、莉子は目をぱちくりさせる。


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