キミニアイヲ.
『…莉子が言ってたの?』


『いいえ〜カンだけど。でもあの様子だとたぶんそうじゃないかしら。心当たりないの?』


『んー…なくもないね』


『そう…。まぁ妊婦はデリケートだから、しっかり支えてあげなさいよ!楓パパ♪』



ニヤニヤしながら楓の背中をバシン!と叩く美和。


むせそうになりながら、楓は様々な想いをめぐらせていたのだった。




「美和ちゃんを侮っちゃいけないよ。あの人妙にカンが鋭いから」


「そう…だったんだ…」



一気に気が抜ける。

今まで悩んでたのは何だったんだ…と。


でもよく思い返してみれば、たしかに最近楓は莉子の前で煙草を吸わなくなった。


それに気付かないほど、莉子は自分のことでいっぱいいっぱいだったのだ。



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