キミニアイヲ.
それから二週間後。
楓は二回目の検診を受けている莉子を待っている。
産婦人科の駐車場の少し離れた場所に車を停め、二枚の紙切れを眺めながら煙草を吸っていた。
そのうちの一枚を見ながら、それに書かれている住所をナビに登録する。
もう一枚は綺麗に折り畳んで胸の内ポケットに忍ばせた。
ふとミラーに目をやると、莉子が早歩きでこちらに向かってくるのが見える。
一人で少しにやけている莉子を見て、楓もふっと顔を綻ばせながら煙草の火を消した。
「お待たせ!」
母子手帳を持ちながら、莉子はいつになく明るく車に乗り込んできた。