キミニアイヲ.


莉子は橋の手すりに両腕を乗せて、ぼんやりと景色を眺めていた。


一時的に涙は止まっても、思い出すとまた溢れてくる。



早く楓に逢いたい。


あの温かい腕で、強く抱きしめてほしい。


そう想いながら顔を伏せて楓を待った。




「……莉子」



少し離れた所から、愛しい人の声が聞こえる。


顔を上げて振り向くと、切なげに、でも優しく微笑む楓がいた。



「楓……っ」



顔を見ると安心したせいか、また涙が一気に溢れてきた。


ゆっくり楓に近付いて、泣きながら胸に顔を埋める。



「楓…赤ちゃんが…っ…ごめんね…!!」


「莉子が悪いわけじゃないよ、謝るな」



楓は莉子の頭をそっと撫でる。


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