キミニアイヲ.
「雪音さんは…どうしてあたしなんかにいつも良くしてくれるんですか?」



雪音はケーキを一口パクッと頬張ったまま、キョトンとしている。


そして、

「そんなの友達になりたいからに決まってるじゃなーい」


と、当たり前のように笑顔で即答した。



「友達……?」



莉子の頭の中には、ますますクエスチョンマークが浮かぶ。


なぜなら、今まで友達と呼べるような人はいなかったから。



わざとではないが、どうしても無愛想な態度をとってしまう莉子に、近付いてくる人は誰もいなかった。


“顔がいいからって高飛車な態度とって…”

なんて陰口を言われたりもして。


それに慣れてしまっていた莉子は、別に友達が欲しいとも、自分から誰かと仲良くすることもなかった。


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