キミニアイヲ.

母さんが死んで、家族がバラバラになってから

俺はずっと、毎日をただなんとなく生きていた。


そんな人生、いつ終わりになったって別に構わない。


そう思ってたんだ

莉子に逢うまでは。



だから、初めて莉子に逢った時

「一緒に死んでやる」って言ったのは、あながち嘘じゃなかったんだよ。



だけど、一年半前。

俺としたことが、見知らぬ男に刺されて生死を彷徨った時、

俺は初めて“死にたくない”と思った。


病院のベッドで目が覚めて

俺の手を握りながら、涙をぽろぽろ零して「よかった」って何度も言う莉子を見たら


あぁ、死ななくてよかった。


俺の人生って、俺が思ってる以上に幸せだったんだ。


…って、心の底から思ったんだよ。


莉子がいたからこそ、そう思えたんだ。



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