キミニアイヲ.
莉子にとっては、まるで目から鱗のような考え方だった。

今までそんなふうに考えたことはなかったから。



「俺だって何のために働いて金稼いでんのかもわからないけど、こうやってのうのうと生きてるし。

莉子ちゃんももっと楽観的に考えてみたら?」


「楽観的に…?」


「そう。生きてても意味がないなら、死んだって意味ないだろ」



──なんでだろう…


何故この人はこんなにあっさりと他人の考えを変えられるのだろうか?



この間もそうだった。


この人と話してると、自分が悩んでいることが馬鹿らしく思えてくる。


決して簡単な問題じゃないはずなのに…


不思議と心が軽くなる気がする──


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