キミニアイヲ.
時間ギリギリまで話をした後、莉子を駅まで送り届けた楓は、再びHEALまで戻ってきた。
莉子の番号が書かれたコースターを眺めているところへ、瞬哉がウイスキーをコトンと置く。
「…本当にいいんですか?マツさん」
その声に目線だけ上げると、瞬哉が複雑な表情で楓を見下ろしている。
「……何が〜?」
「莉子ちゃんのことですよ!分かってるでしょ」
フッと笑ってしらばっくれる楓に、瞬哉は呆れたように溜め息をついた。
「いい子そうじゃないですか。なのに……」
「俺がどういう男か、お前が一番知ってるだろ?」
楓は煙草をくわえるとライターを取り出して火を点けようとするが、ガスが切れたらしくシュッと擦れる音だけが響く。