真昼の月
前にあるサイトのチャットに入ったら、カメラを出して自己採血を中継している女の子がいた。注射針かなんかで少しばかり刺して蚊に刺されたほどの血を流して喜んでいる。

「ばかじゃないか?切るときは思い切ってぐさっとやりなよ」そう書き込んですぐに落ちてやった。不愉快な気分。切らない人がそういうのを見て不快に思うのとは反対のベクトルで抱える不快感が押し寄せてくる。

「切るって言うのはね、こうやるんだよ!」極道映画の女主人公が自分の息子から日本刀を取り上げて自分の足の甲に突き立てるシーンで吐く台詞。まさに今あたしはそういう気分。で、また切る。その3日前に切っていたところ、重なって切れちゃった。

「遊びで切るなら切らないほうがいい」あたしもカメラ繋いで切るところ見せてその子にそういってやりたい。

ばかなのはあたしのほうだ……切らないで生きられたらそのほうがずっといい。どうしてこんなアンビバレンツに翻弄されているんだろう?自分の体、ずたずたにして心も石になって誰にも愛されなくて誰からも必要とされなくて……

「こんなあたし、生きていていいんですか?」もし神様がいるとしたらあたしはこういって抗議すると思う。

死にたい……でも死なない……神様にも嫌われている、あたし。こんな自分が……嫌い。

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