真昼の月
午前中か。起きられるかな……急に心配になる。

あたしに朝はない。午前中はからだが痺れて頭がぼうっとする。
頭が鉛のように重くて起きていられない。目が覚めてもまた眠ってしまう。
早くて午後1時くらいに目覚める。
ひどいときは午後の4時か5時頃になる。朝日が射しているかと思ったら夕暮れだったことはしょっちゅうだ。

夕方から夜にかけては割りと調子が良い。
鬱病の日内運動というらしい。
常に憂鬱な気分で心が支配されていて、朝が一番苦しくて夕方が楽になる。
そうトモに説明されたことがある。

あたしは鬱なのかな。
いつも気持ちを押さえ込んでいる。
気持ちが解放されることのほうが少ない。

今に始まったことじゃない。中学の頃からずっとそうだった。
抑圧。何に対して押さえ込まれているのか自分でもよくわからない。
それを知るためにも病院に行くのはいいことなのかもしれない。

ただ、原因がわかったところで死にたいという気持ちに変わりはない。
ああ でもあたしは本当に死にたいのだろうか。
死にたくて切っているわけじゃない。死にたくて切るときもあるけれど、
どちらかというと、生きていることの確認をしたいから切っているのだと思う。

切ると気分がわずかだが晴れたような気持ちになる。
あたしの中のもやもやが血と一緒に出て行く感じ。
溢れる血を見ているとこれでいいんだという気持ちになれる。
あたしは罰せられなければならない。痛みでいのちに引き寄せられなければならない。
それでいのちが掌からすり抜けてしまうならそれでもいい。
生きる事も死ぬこともあたしの中では等しいものだから。
現実の風景はあまりにも遠い蜃気楼だから。
< 31 / 60 >

この作品をシェア

pagetop