真昼の月
ぜんぜん痛みを感じない。
あたしはもう人間じゃないのかな・・・・・・
こんなところに入れられて、独房みたいな殺風景な部屋で。
まるで犯罪者みたい。
あたしが生きていることって 犯罪なのかもしれない。
あたしに関わる人はみんな迷惑をこうむっている。

ぼんやりとして輸液が落ちるのを眺めている。

ひとーつ、ふたーつ、みーっつ・・・・・・
点滴の雫が落ちるのを数えていると眠くなってきた。
何も考えなくてもいい。ここは保護してくれる場所らしい。
あたしは眠りの中に落ちていく。
すとんと落ちて何も感じなくなれればいい。
暗い闇がうごめきだしてあたしを無意識の深淵に誘う。

死ぬときってこんな感じなのだろうか。
トモはどうしているだろう。

こういう風に保護されたまま逝けるならトモと一緒に逝ってもいいと思う。

手を繋いで。どこにも行かないで。あたしのそばにいて。
それがトモのことなのかどうかわからないまま、あたしは眠りに身を委ねる。
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