真昼の月
アナフラの雫が静脈に送り込まれている。
雨の雫が落ちる音と重なっている。
気持ちが穏やかになってふわーっとしてくる。
虚ろに眠い。あたしは薬が効きやすい体質らしい。

ドグマチールを打たれたときはひどかった。
腰が立たなくなって部屋のトイレにしゃがむのもやっとだった。
トイレは部屋にあるからそう歩かなくても済むのに、
それでも足のふらつきが収まらなくて腰をかがめながらようやく用を足す場所にたどり着いたのが屈辱だった。
どうしてこんなに強い薬を出すんだろう。
薬漬けでもう一生ここから出さないつもりでいるのかとさえ思った。
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