真昼の月
その夜の夕食の時間に出来事は起こった。
ここは6時半に夕食が出る。重篤な人以外は、
ワゴンの上に乗っているご飯を自分で取りに行く決まりだ。

一緒に行こう、と言って3人でワゴンのところに行った。

あたしたちはめいめいのお盆を持って部屋に戻った。
相変わらずあたしは食欲がなかった。
ご飯はカレーライスだったけど二口くらい食べてすぐに下げる用意をした。

すると麗が「聖羅ちゃん食べないの?」と聞いた。うん、もし良かったら食べてと、言い終わらないうちに
麗はつかつかとあたしのベッドに来てさっとカレー皿を取り上げると物凄い勢いでたちまちお皿を平らげた。

それから6人居る人のうち、食欲がなさそうな人のところに行っては皿の中のものを貰ってがつがつと食べ、自分のを入れると4人分のカレーを平らげた。それから麗はいそいでワゴンに皿を下げ、談話室に向かった。

「ウーロン茶500ミリリットル2本飲んでると思う」
と杏奈はいった。

「もうちょっとしたらトイレ行ってみてごらん。麗ちゃん居るから」

15分位してからあたしと杏奈はトイレに行った。すると動物の唸り声のような声がして何度も水を流している音が響いた。杏奈は動じることもなく、

「麗ちゃん全部吐いたあ?」と聞いている。

うぇっ、ぐぇっ・・・・・・

「ま・・・・・だ・・・・・・」

「じゃあ部屋戻ってるよ」

「リョ・・・・・・了解・・・・・・」

部屋に戻って30分位すると麗が何事もなかったように戻ってきた。
「しばらく拒食だったけど、
今夜は食べたくてたまらなくなってきて、やっちゃった・・・・・・」
と麗は杏奈に耳打ちしていた。
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