続・狼彼氏×天然彼女
10・甘い時間
◇◆◇◆実紅◇◆◇◆
この手を退かしたいけど、退かすことが出来ないのが現実なのが、とても悔しくてたまらない。
とても力が入ってるから女のあたしじゃ退かせるわけがない。
……この狼の手は。
「ちょ…早く離してよっ!」
「は?……お前がキスしやすいようにしてやってんだろ?」
キスしやすいようにしてなんて、頼んだ覚えありませんから。
しかも、腰に回すなんて、キスしやすいもなにも、密着してるだけじゃん。
「そ、そもそも……罰でキスするなんて言ってないし…」
「じゃあ、なに?」
頭をあたしの頭の位置まで下げて壁に手をついた。
ちょうど、よくある壁と舜の間に挟まれてる体勢にいる。
だから、早く話を進めてこの手を退かしてもらいたい。この体勢は一番苦手。
「…今度、遊ぶ時にパフェを奢ってって言われただけ、だよ」
「ふーん」
「う、ウソなんかじゃ、な、ないからねっ!」
「…お前って、緊張してるときかウソついてるとき、よく咬むよな?」
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